一乗寺の住宅

一乗寺の住宅

「<樹>に<巣>をつくるようにリノベーションする」

マンションの一住戸をフルリノベーションする計画である。対象住戸は築40年、RC造9階建てのビンテージマンションの5階角部屋で、三面から採光・通風を確保できる。また、周辺よりやや高い場所に位置し、東側バルコニーからは瓜生山を望むことができる自然豊かな場所に建っている。既存住戸は間仕切り壁によって2LDKのプランに区切られていて、周りの自然環境を住戸全体で感じ取ることはできない状態であった。玄関からリビング・バルコニーへと繋がるクローズドな廊下で、寝室や浴室といった閉じた「箱」をつないでいた。間仕切りを全て解体し、スケルトンのワンルームにすると、住戸全体に光と風が回遊した。玄関を入ってすぐにバルコニーから瓜生山の緑を感じることができた。この心地よい光と風を部屋ごとに分断するのではなく住宅全体で感じられ、それでいて落ち着けるスケールの空間を作れないか。

一室空間のスケルトンを敷地と見立てて、幅 1 間半 (2.7m) 奥行き 4 間 (7.2m) のポーラスな「巣」を住宅の中心に建設した。RCの堅くて強いマンションの躯体と、生活風景を生み出す家具の間をつなぐような、25mm角の鋼管で組まれた立体物である。内部には寝室・ピアノスペース・ダイニングを配置した。その立体物のまわりに、土間玄関、バススペース、洗面脱衣スペース、トイレ、キッチン、クローゼットなどをひとつながりに配置し、巣に絡まるように生活風景が生まれる。音楽家の施主がピアノを弾くと、住戸のどこにいてもその音色を感じることができる。構築物の外側は全ツヤ塗装とし、3面から入る光を反射させながら 光と風が回遊する。三方向から入る光は立体物の存在によって、明るさの濃淡を生み出す。間仕切り壁と表面の仕上げで場を作るのではなく、「巣」を建てることによって場を作るリノベーション手法の提案。

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所在地 京都府京都市
用途 住宅
構造・規模 RC造 地上9階建てのうち5階部分
延床面積 67.63㎡
TEAM 構造アドバイス:満田衛資構造計画研究所
ファブリック:fabricscape
施工:三好工務店
PHOTO 1,3-23 / KENTA HASEGAWA
一乗寺の住宅

キルコス国際建築設計コンペティション2018「寒/暑 Heat and Cold; Embracing the Climatic Extremes」

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