冬の寒い日、いつもより早足で帰宅し、一目散に石油ストーブへと向かい火をつける。石油が赤くぼんやりと筒の中で燃え始めると、体の緊張がほぐれて一息つく。そして手をかざしながら部屋が暖まるのをじっと待つ。暖かな光がゆっくりと部屋全体を満たしてゆく。
石油ストーブは長い間、私たちの生活の中心にありました。部屋を暖めるだけでなく、その先に穏やかで心地のよい時間を与えてくれていました。
stove は石油ストーブから「暖かな光」を取り出したスタンドライトです。
stove に明かりをつけると、部屋が少しだけ暖かくなった気がしてそっと手をかざしてみたくなる。明かりを見つめながらぼんやりと時間を過ごしたり、ベッドに横になって本を読みたくなる。既にある日常を切り取って別の場所へ置き直してみると、今までとは少し違う日常が見えてくる。
stove のスイッチを ON にしても、石油ストーブのように部屋の温度を上げてくれるわけではありません。物理的に暖かかった場面が心の中に一瞬浮かび上がり、少しだけ暖かな風景を思い出す。
私たちの心の奥深くで共有している感覚を掘り起こし、地球環境と人間の間に空いた隙間をそっとつなぐ、そんなプロダクト。
SIZE | 77φ*H205 |
---|---|
MATERIAL | steel |
COLLABORATED | SHINYA SHIRAHATA |
PHOTO | JUNICHI YAGINUMA |