西九条の民泊

西九条の民泊

人もまちの風景も歓迎する民泊

3軒長屋の中央部分を、住宅から民泊へとコンバージョンする計画である。
単なる宿泊施設ではなく、滞在を通して、この土地の性質や気配に触れられる場所となることを目指した。

民泊が位置するのは大阪市西九条。大阪環状線と阪神なんば線が乗り入れ、USJ、2025大阪万博、京セラドームなどに向かう国内外の人々で賑わうエリアである。
かつては海運で栄え、周辺の開発に合わせて現在も変化し続けるこの地域には、「更新され続ける風景」という、まち固有のコンテクストがある。
まち固有のコンテクストに馴染みながら、滞在の中で土地の成り立ちや空気感を感じ取れる民泊を目指した。

両隣には印象的な店舗が入居する。左隣は日本語学校帰りの人々で賑わうネパール料理店、右隣は西九条が地元のマスターが立つ喫茶店が入り、地域の方々で賑わっている。
国籍や世代を越えた人々が日常的に交差する場所に、この民泊もまたひとつの風景として滲み溶け込むことを意識した。

両隣やまちの風景を呼び込むように玄関を拡張し、まちにひらかれたインナーテラスを設けた。
外部建具は可能な限り大きく設け、まちと人を迎え入れるようなファサードを目指した。

またYAPとして初めて設計と工事請負の両方を担ったプロジェクトでもある。
YAPのメンバー自らが解体作業に入り、現場で埃まみれになりながら空間をつくり上げた。
何度も現場に足を運び、丁寧に解体を進める中で状態の良い部分はできる限り残す。
特に状態の良かった2階奥の寝室は、屋根現しの空間とした。
現しの屋根や柱から、この建築の歴史を体感し、南向きの開口からは暖かな光を感じ取ることができる。

インナーテラスではまちに開き、寝室やダイニングでは安心して過ごすことができる。まちとの接続性と快適性をバランスさせる民泊となることを心がけた。

老若男女、あらゆる国籍の人を歓迎し、街の風景に滲み溶け込む民泊を志向した。

所在地 大阪市西区
用途 民泊
構造・規模 木造 地上2階建て
建築面積 45㎡
延床面積 82㎡
敷地面積 48.87㎡
TEAM コンサルティング:イロドリ株式会社
施工:No.9
PHOTO KENJI TOGO